2021年03月09日

米国リロード事情

米国リロード事情


自家リロードで弾薬の品薄状態を乗り切ろうとする銃所持者達
2021年 3月4日 by Aaron Smith

ガン・ショップの弾薬売り場の棚が空っぽになりつつあるアメリカに於いて、銃所持者達はブラス薬莢を用いた自家リロードや、あるいは自作弾薬の製作といった他のオプションを考慮せざるを得なくなっている。

しかしそういったやり方も上手い抜け道とは言えない。リロード実践者もまた、出来合いの弾薬を購入する消費者としてやはり品薄状態に直面している。事実、古いリロード実践者にとっては事態は悪化している。なぜなら大手の製造会社が基本的な材料に優先順位をつけたからだ。

「部品が手に入らなければ、ファクトリー・アモ同様、あなたはお手上げだ。」
マサロ弾道研究所の所長であり、「リロードのABC」、「あなたは長い事待った」などの著作を著したフィリップ・マサロは言う。

リロードは弾薬製造過程のショート・スケールなのだ。ほとんどの弾薬はウィンチェスター社やビスタ・アウトドア社といった製造会社の工場によって生産されている。ビスタ・アウトドア社はフェデラルやCCI、レミントンなどの弾薬ブランドを所有している会社だ。

しかし、また誰しもが自分の弾薬を製造することができる、というのもまた事実だ。2万円のハンドプレスや、1万5千円の電気薬莢プリッパーなどの道具を持ってさえいれば、誰しも銃器エンスージアジストとして、弾頭、プライマー、火薬パウダー、真鍮製薬莢と言ったコンポーネントを組み立てる事が出来るのだ。

自作の弾薬を製造することは、去年アメリカ中のガン・ショップから銃が消える程のあのCovid-19パンデミックによる品薄状態を乗り切るために、サバイバリストがとったやり方にも似ていると見なされるかもしれない。

「弾薬というものは、一旦手に入れるのが難しくなると、多くの客がリロードのための道具に走るものなんだ。」こう語るのは、ブラウンネル社のコミュニケーション・ディレクターであるライアン・レップである。ブラウンネル社というのはアイオワ州をベースに銃器の販売ならびに弾薬製造を行う会社である。
「我々は供給体制の維持に全力を挙げている。しかし、弾薬に関しても同様な事が起きている。供給が需要に追いついていない。」

しかしながら、弾薬というものは同じ基本的な材料で出来ている。弾頭、プライマー、火薬パウダーと薬莢だ。リロード実践者達は、こういった基本的な材料を見つけるのに苦労している。なぜなら、弾薬製造会社もまた、一般に向けて販売するべき何万発という彼等の弾薬を造るためのこれらのコンポーネントを必要としているからだ。

「我々は弾薬販売に関して、通常の送料しか取っていない。しかしほとんどの場合で実際、数分から数時間のうちに売り切れてしまう。」レップは言う。

恐ろしいパンデミックと苛立つ市民の武装蜂起によって、アメリカ国民は空前の銃購入者増加を見た。FBIによるバックグラウンド調査ならびにS&W社やスタームルガー社の販売実績によると、去年、FBIのバックグラウンド調査を受けた人の数は、年間39万人に達したと言う。2021年の最初の2ヶ月で2020年の最初の2ヶ月を上回ったと言う。

8万人以上のアメリカ国民が、パンデミックの開始を理由として初めて銃を購入したが、銃産業グループであるナショナル・シューティング・スポーツ・ファウンデーションによると、この事実はすなわち何万発という弾薬を購入する新たなる消費者の出現に他ならない、と言うのである。これがまた弾薬メーカーに巨大な負荷となる。

ミネソタ州に本拠地を置くビスタ・アウトドア社はこのように言い続けている。弾薬に飢えた消費者達は自分で弾薬を製造することが出来るのと同様に、プライマーやその他のリロードのためのコンポーネントを作る事が出来る。ビスタ社はフル操業で弾薬を製造し、人員を増やしている。ビスタ社は破産した親会社から去年、レミントン弾薬プラントを取得し、最近になって製品ラインナップを強化するべく販売を開始した。

ビスタ・アウトドア社の公衆関連およびコミュニケーション部門のナンバー2であるフレッド・ファーガソンは言う。
「我々の製造チームは我々の製品に対するこの空前の需要に応えるべく昼夜問わず働いている。」

「これは法執行官や、スポーツマンそして何万と言う新しい、又は帰って来たレクリエーション・シューターを支えています。」
ファーガソン氏はまたこうも言っている。
「リロード市場は、既製品弾薬市場同様にそのピークを迎えつつある。」

ビスタ社における、フェデラルやCCI、スパーやレミントンなどの弾薬ブランドの社長であるジェイソン・ヴァンダーブリンク氏はオンライン・ビデオにおける、大変な枯渇に関する微に入り細に渡る情報がひいては、ビスタ社が故意に引き起こしている!との噂の原因になっている、と説明した。

「弾薬需要の逼迫が続けば、プライマー市場も苦しむ事になる。」と彼は騒がしい弾薬工場を巡回しながら会社のビデオで語る。
「リロード実践者達が我々のプライマーを利用出来る様にすれば、レミントンやCCI、フェデラルやスパーの弾薬を供給すると言う我々の内側の必要を、今やそのキャパシティは満たそうとしている。」

リロードは長い歴史を持つ。自分で弾薬を製造すると言うアメリカ国民の伝統はついに独立戦争にまで遡る。1776年の、ニューヨーク市民とワシントン将軍に率いられた兵士のグループは、ジョージ2世の鉛の像を引き倒し、コネチカット州に送ってマスケット銃の弾丸に作り直したのだ!

戦場において兵士はしばしば、自身の持つ金属製の柄杓を、万力で固定して溶かした。
開拓者達は小屋の火のそばで、彼等自身のための弾頭をハンドプレスしたものだった。

この21世紀に、リロード実践者達はまた異なる理由でその世界に入った。そして、より洗練された道具の選択を楽しんでいる。プライミング・ツール、リローディング・ダイ、そしてプレス。

しかし、それは現代のリローダーにはいささか遅すぎたのではないか?

「リロードをいかに上手くやるか、学び実践している人が多く居る。」マサロは言う。
「しかし、彼等は試合に遅れたのだ。供給を受けるためには。」




Posted by WERTY  at 04:09 │Comments(0)

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